
※ 本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。
独立した電気工事士が確定申告で悩む点は「何が経費になるか」だ。本記事では2026年版の申告手順と、現場歴18年の筆者が実際に計上している経費を一覧で解説する。
独立した電気工事士が確定申告を必ず行う理由
独立して個人事業主になった瞬間から、確定申告は義務になる。年間の売上が48万円を超えれば申告が必要だ。電気工事士として独立したなら、ほぼ全員が対象と考えていい。
申告を怠ると加算税が発生する。無申告加算税は本来の税額に対して最大20%が上乗せされる。「知らなかった」では済まない世界だ。
また、青色申告を選べば最大65万円の控除が受けられる。これを使わない手はない。開業届と青色申告承認申請書は、開業日から2ヶ月以内に税務署へ提出する必要がある。
なお、開業に必要な許可申請の手順については電気工事士が独立して電気工事業の許可を取る方法|申請手順と費用で詳しく解説している。開業届と合わせて確認してほしい。
2026年版・確定申告の基本的な流れ
💡 独立開業サポート
ステップ1:帳簿をつける(1年間)
青色申告をするなら複式簿記が原則だ。会計ソフトを使えば自動で仕訳してくれる。freee・マネーフォワードクラウドどちらも月額1,000円前後から使える。
現金払いが多い電気工事の現場では、レシートをスマホで撮影して即日記録する習慣をつけると楽だ。毎日5分の入力で年末の地獄が避けられる。
ステップ2:必要書類を揃える(1月〜2月)
2026年1月に確定申告に必要な書類をまとめ始める。主に以下が必要だ。
- 支払調書(元請け会社から届く)
- 経費の領収書・レシート一式
- 車両・工具の減価償却計算書
- 社会保険料の支払証明書
- 生命保険料控除証明書
ステップ3:確定申告書を作成・提出(2月16日〜3月15日)
2026年の申告期間は2月16日(月)から3月15日(日)までだ。e-Taxを使えば自宅から提出できる。マイナンバーカードがあれば当日中に完結する。
青色申告の場合、65万円控除を受けるには電子申告(e-Tax)が必須条件になる。紙での提出では控除額が55万円に下がる点に注意だ。
確定申告に関連する情報として、電気工事士が独立するために必要な資金はいくら?開業費用の内訳を解説も参考にしてほしい。開業費用の計上方法とも関係してくる。
電気工事士が計上できる経費一覧【2026年版】
📖 参考書・テキスト
ここが本記事のメインだ。18年の現場経験から、実際に私が毎年計上している経費を全て公開する。
1. 工具・材料費
電動ドリル・テスター・ケーブルカッターなどの工具は全額経費になる。1点10万円未満なら購入年に一括計上できる。10万円以上は減価償却が必要だ(工具器具備品として5〜6年で償却)。
材料費は売上に直結するため、経費性が高い。ケーブル・スイッチ・コンセント類など現場で使った材料は全て「仕入高」か「材料費」として計上できる。
2. 車両費・ガソリン代
軽トラやバンを仕事で使うなら、車両関連費は大きな経費になる。私の場合、年間のガソリン代だけで約24万円(月2万円)を計上している。
- ガソリン代:現場への移動に使った分
- 車検費用:事業用車両の車検代
- 自動車保険料:事業用の車両保険
- 駐車場代:現場付近のコインパーキングも含む
- ETC利用料:高速道路料金(現場が遠い場合)
プライベートと兼用の場合は「家事按分」が必要だ。走行距離記録をつけて、仕事に使った割合を算出しよう。仕事7割なら7割が経費になる。
3. 外注費・人件費
大きな工事で職人を呼んだ場合、その支払いは「外注費」として計上できる。年間200件以上こなす私でも、繁忙期には月3〜4人に手伝いを頼む。1人1日あたり2万〜3万円が相場だ。
家族を従業員にする「青色事業専従者給与」も使えるが、税務署への届け出が必要なため事前に確認しよう。
4. 通信費
スマホは仕事で使う割合に応じて経費にできる。仕事での使用率が8割なら、月額9,000円のプランなら7,200円が経費だ。
- スマートフォン料金(按分)
- インターネット回線費(自宅兼事務所なら按分)
- 工事図面管理アプリの月額料金
5. 作業服・安全用品
現場専用の服は全額経費になる。作業着・安全靴・ヘルメット・手袋・腰道具ベルトなど。普段着としても使えるものは認められないケースがある点に注意だ。
6. 資格取得・研修費用
業務に関連する資格の取得費用は経費になる。第二種電気工事士の受験料は9,300円(技能・筆記合計)だが、業務継続のための資格更新や講習費用も全額計上できる。
資格については電気工事士合格後にやること|免状申請・住所変更・更新の手順を解説も参考にしてほしい。
7. 保険料
電気工事士の独立後に欠かせないのが賠償責任保険だ。年間保険料は売上規模によって異なるが、個人事業主レベルなら年間3万〜8万円が目安だ。この保険料は全額経費になる。
保険の詳細については電気工事士の賠償責任保険とは?加入が必要なケースと保険料の目安で解説している。
8. 広告宣伝費
- 名刺の印刷代(100枚2,000円〜)
- ホームページの制作・維持費
- チラシ・ポスティング費用
- Googleビジネスプロフィールの広告費
- マッチングサービスの登録・手数料
9. 接待交際費・会議費
元請け会社の担当者との食事代は接待交際費として計上できる。ただし、1人あたりの金額が明確に分かるレシートが必要だ。会議費として計上する場合は1人5,000円以内が目安だ。
10. 地代家賃・光熱費(按分)
自宅を事務所として使う場合、家賃・電気代の一部が経費になる。事業に使う面積÷総面積で按分する。6畳の部屋を事務所にしているなら、1LDKの家賃の約20〜25%が経費として認められるイメージだ。
11. その他の経費
- 会計ソフト代(freee:年間約23,760円など)
- 電気関連の専門書・技術書
- 現場への交通費(公共交通機関)
- 銀行の振込手数料
- 業界団体の年会費
- 税理士への顧問料
経費にならないもの・注意が必要なもの
何でも経費にできるわけではない。以下は要注意だ。
経費にできないもの
- プライベートの食事代・旅行費
- 自分自身への給与(個人事業主は給与を払えない)
- 国民年金・国民健康保険料(経費ではなく所得控除)
- スーツ(仕事でも普段着と判断されやすい)
- 罰金・違反金(駐車違反など)
国民健康保険料と国民年金は「社会保険料控除」として申告書に記載する。経費ではないが、課税所得を減らせるため必ず記載しよう。
青色申告と白色申告、どちらを選ぶべきか
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 控除額 | 最大65万円 | 0円 |
| 帳簿の種類 | 複式簿記 | 簡易帳簿 |
| 赤字の繰越 | 3年間可能 | 不可 |
| 30万円未満の備品 | 一括経費計上可 | 不可 |
| 手間 | やや多い | 少ない |
結論は青色申告一択だ。会計ソフトを使えば複式簿記のハードルはほぼゼロになる。65万円控除の税効果は課税所得300万円の場合、約10万円の節税に相当する。
実体験:18年の経験から見た確定申告の落とし穴
実際に私が独立1年目に失敗したのは「消費税の扱い」だ。売上1,000万円を超えた翌々年から消費税の課税事業者になる。独立2年目に売上が1,100万円になり、4年目に消費税申告が必要になることを知らなかった。
インボイス制度が2023年10月から始まったため、2026年時点では元請けから「インボイス登録していますか?」と必ず聞かれる。登録していない場合、仕事を失うリスクがある。年商1,000万円以下でも登録した方が現実的だ。
また、税務調査で最も指摘されやすいのは「按分が適当すぎる経費」だ。車を仕事9割・プライベート1割と申告していたが、実際の走行記録がなければ否認される可能性がある。走行距離記録アプリを毎日使う習慣が重要だ。
独立後の収入の変化については電気工事士が独立した場合の年収の現実|開業1年目・3年目・5年目の変化で詳しく解説している。確定申告の経費計上とあわせて参考にしてほしい。
税理士に頼むべきかの判断基準
年商300万円以下なら会計ソフトだけで自分で対応できる。年商500万円を超えてきたら税理士への依頼を検討しよう。顧問料は月額1.5万〜3万円が相場だが、節税効果でペイできるケースが多い。
- 年商300万円以下:会計ソフト(freee等)で自己申告
- 年商300万〜500万円:スポット依頼(申告時のみ:3万〜5万円)
- 年商500万円以上:税理士と顧問契約(月額1.5万〜3万円)
なお、経済産業省 電気工事業登録・届出のページでは、電気工事業の登録要件も確認できる。確定申告と合わせて事業者としての手続きを整えておこう。
よくある質問(FAQ)
Q. 電気工事士が独立して初めて確定申告するのはいつ?
A. 開業した年の翌年2月16日〜3月15日が初回の申告期間だ。2025年に開業した場合、2026年2月16日〜3月15日に申告する。開業直後に青色申告承認申請書を提出しておかないと、初年度から青色申告が使えない点に注意しよう。
Q. 電気工事士の確定申告で最も経費として大きいのは何?
A. 規模によって異なるが、材料費・外注費・車両費の3つが大きくなりやすい。年商500万円規模の個人事業主であれば、材料費と外注費で売上の40〜50%を占めるケースも多い。車両費(ガソリン代・車検・保険)も年間30万〜50万円規模になることがある。
Q. 軽トラを購入した場合、全額一括で経費にできる?
A. 原則として減価償却が必要だ。軽トラ(新車)の耐用年数は4年のため、購入価格を4年で割って毎年計上する。ただし、青色申告者で30万円未満の車両なら少額減価償却資産として一括計上できる(年間合計300万円まで)。
Q. 確定申告をしないとどうなる?
A. 無申告加算税(税額の最大20%)と延滞税(年8.7%相当)が追加でかかる。税務調査が入ると過去5〜7年分を遡って調査される。電気工事士の場合、元請けから支払調書が税務署に提出されるため、無申告はほぼ確実に発覚する。必ず期限内に申告しよう。
Q. インボイス登録は必須?
A. 法律上は任意だが、法人の元請けから仕事を受ける場合は事実上必須になりつつある。インボイス未登録だと、元請けが仕入税額控除を受けられないため、取引を敬遠されるケースが増えている。年商1,000万円以下でも、元請けへの営業活動を続けるなら登録を検討すべきだ。
✍️ 著者プロフィール
電気工事士歴18年。大阪を中心に年間200件以上の電気工事を担当。第一種電気工事士・認定電気工事従事者の資格保有。現場で得た実体験をもとに、電気工事に関する情報を発信しています。