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電気工事士が一人で株式会社を設立すると、年収600万円以上で節税効果が出やすい。手続きは最短2週間。費用は約25万円から。この記事では設立の全手順・費用・税金を具体的に解説する。
一人法人を設立すべき年収ラインはいくらか
結論から言う。
年収600万円が目安だ。
個人事業主のまま年収600万円を稼ぐと、所得税・住民税・社会保険料の合計が約180万円になる。
同じ売上を一人法人で受けると、役員報酬の設定次第で支払い総額を130万円台に抑えられる。
差額は年間40〜50万円。10年で400〜500万円になる。
個人事業主と法人の税負担を比べる
| 項目 | 個人事業主(年収600万円) | 一人法人(同売上) |
|---|---|---|
| 所得税 | 約60万円 | 約20万円 |
| 住民税 | 約40万円 | 約20万円 |
| 社会保険料 | 約80万円(国民健康保険) | 約50万円(健康保険・厚生年金) |
| 法人税等 | なし | 約15万円 |
| 合計 | 約180万円 | 約105万円 |
※役員報酬を月35万円に設定した場合の試算。税理士費用は含まない。
電気工事士が一人法人を設立する3つのメリット
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メリット1:節税の選択肢が一気に広がる
個人事業主では使えない節税手段が法人では使える。
- 役員報酬として給与所得控除(最大195万円)を活用できる
- 生命保険料を法人経費に計上できる
- 配偶者・家族への役員報酬で所得分散できる
- 退職金を1,000万円単位で積み立て、退職時に低税率で受け取れる
- 小規模企業共済(月最大7万円)と法人保険を併用できる
メリット2:大手元請けからの受注が取りやすくなる
ゼネコンや大手ハウスメーカーは、個人事業主への発注を避ける傾向がある。
理由は与信審査とコンプライアンス対応だ。
法人格があると、口座開設・取引審査がスムーズになる。
実際、法人化後に月単価が10〜20%上がったという電気工事士は多い。
メリット3:赤字を10年間繰り越せる
個人事業主の欠損金繰越期間は3年だ。
法人は最長10年繰り越せる。
設備投資が多い電気工事業にとって、この差は大きい。
高圧絶縁トラッカー(40〜80万円)や高所作業車のリース費用なども、翌期以降の利益と相殺できる。
電気工事士が一人法人を設立する手順【2026年版】
📖 参考書・テキスト
ステップ1:会社の基本情報を決める(1〜3日)
まず以下の5つを決める。
- 商号(社名)
- 本店所在地(自宅でも可)
- 事業目的(「電気工事業」「電気通信工事業」など複数記載する)
- 資本金(最低1円だが、許可申請を考えると500万円以上が理想)
- 会計年度の開始月
資本金について補足する。
電気工事業の一般建設業許可を取る場合、財産的基礎として500万円以上の自己資本が必要だ。
最初から500万円を資本金に入れておくと、後の許可申請が楽になる。
ステップ2:定款を作成・認証する(3〜5日)
定款は会社のルールブックだ。
公証役場での認証が必要になる。
電子定款を使えば収入印紙代4万円を節約できる。
認証手数料は資本金100万円以上300万円未満で3万円、300万円以上で5万円(2026年現在)。
ステップ3:資本金を払い込む(1日)
個人口座に資本金額を振り込む。
通帳の表紙・振込ページをコピーして保管する。
法人口座開設前のため、個人口座で問題ない。
ステップ4:設立登記を申請する(1〜2日)
管轄の法務局に設立登記申請書を提出する。
登録免許税は資本金×0.7%(最低15万円)だ。
申請から登記完了まで、通常7〜10営業日かかる。
オンライン申請(登記・供託オンラインシステム)を使うと登録免許税が15%軽減される。
ステップ5:各種届出を提出する(登記完了後2週間以内)
設立後に提出が必要な書類は6種類ある。
| 届出書類 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署・都道府県・市区町村 | 設立から2ヶ月以内 |
| 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立から3ヶ月以内 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 開設から1ヶ月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 税務署 | 随時 |
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所 | 設立から5日以内 |
| 電気工事業開始届(登録申請) | 都道府県知事 | 業務開始前 |
一人法人の設立にかかる費用の全内訳
設立にかかる費用を正直に全部書く。
| 費用項目 | 自分で手続き | 司法書士に依頼 |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 5万円 | 5万円 |
| 収入印紙代(電子定款なら不要) | 4万円 or 0円 | 0円 |
| 登録免許税(資本金500万円の場合) | 15万円 | 15万円 |
| 司法書士報酬 | 0円 | 5〜10万円 |
| 印鑑作成費 | 1〜3万円 | 1〜3万円 |
| 合計(電子定款の場合) | 21〜23万円 | 26〜33万円 |
電子定款を自分で作れる人は21万円台で収まる。
初めての法人設立なら司法書士への依頼をすすめる。
ミスによる再申請コストより依頼費用のほうが安い。
電気工事業の登録・許可はどうなるか
個人事業の登録は法人に引き継げない
重要な点を先に伝える。
個人事業主として取得していた電気工事業の登録・許可は、法人に自動引き継ぎにならない。
法人として改めて申請・登録が必要だ。
電気工事業の登録申請に必要な書類
- 電気工事業開始届出書(登録申請書)
- 法人の登記事項証明書
- 主任電気工事士の第一種電気工事士免状(または第二種+3年以上の実務証明)
- 営業所の賃貸借契約書または自己所有証明
- 検査用機器の保有証明(絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計など)
一人法人の場合、代表者自身が主任電気工事士を兼務できる。
ただし第二種電気工事士免状のみの場合は、3年以上の実務経験証明書が別途必要になる。
法人化後の役員報酬はいくらに設定すべきか
役員報酬は年間の見込み売上をもとに決める。
一度決めたら、期中に変更できない(臨時改定・業績悪化改定を除く)。
設定の基本ルールは次の通りだ。
- 売上700万円なら役員報酬は月30〜35万円が目安
- 売上1,000万円なら月40〜45万円が目安
- 残りは法人に利益として残し、翌期の設備投資・内部留保に使う
- 社会保険料の負担増を避けるため、月50万円を超えたら税理士に相談する
役員報酬が低すぎると手取りが減る。
高すぎると社会保険料負担が重くなる。
適正ラインを毎期税理士とすり合わせることを強くすすめる。
一人法人のデメリット3点と対処法
デメリット1:維持コストが年間30〜50万円かかる
法人には最低でも以下のコストがかかる。
- 税理士顧問料:月2〜3万円(年間24〜36万円)
- 法人住民税の均等割:年間7万円(赤字でも発生)
- 法人口座維持費:年間0〜3万円
対処法は売上600万円未満では法人化しないことだ。
節税効果がコストを上回る水準になってから設立する。
デメリット2:廃業手続きが複雑になる
個人事業主の廃業は税務署に1枚紙を出すだけだ。
法人の解散・清算には6ヶ月〜1年かかる。
司法書士・税理士費用も20〜50万円かかる。
対処法は事業継続の意思が固まってから設立することだ。
デメリット3:社会保険の強制加入
法人は社会保険の強制適用事業所になる。
役員報酬月35万円の場合、社会保険料の労使合計は月約10万円だ。
ただし国民健康保険より保障が手厚い。
傷病手当金(最長1年6ヶ月、日額約8,000円)が使えるのは厚生年金加入者だけだ。
まとめ:電気工事士の一人法人設立チェックリスト
- 年収600万円以上になったら法人化を検討する
- 資本金は電気工事業許可を見越して500万円を目安にする
- 定款は電子定款で作り4万円の印紙代を節約する
- 設立費用は合計21〜33万円を見込む
- 法人設立後、電気工事業の登録を法人名義で取り直す
- 役員報酬は期初に税理士と相談して決める
- 設立後2週間以内に各種届出を済ませる
- 税理士顧問料の年間コストを事前に売上計画に組み込む
一人法人は正しく設計すれば、年間40〜70万円の手取り増につながる。
売上が伸びているなら、2026年中に動くことをすすめる。