
電気工事士が独立するとき、開業届は事業開始から1ヶ月以内に税務署へ提出する必要があります。記載方法・提出先・一緒に出すべき書類を2026年版でまとめました。
「開業届って何を書けばいいの?」
「電気工事士の業種名は何て記入する?」
多くの人が迷うポイントを、この記事で一つひとつ解説します。
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開業届とは何か|提出義務と罰則を確認する
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
所得税法第229条に基づいて、事業を開始した人が税務署へ提出します。
提出しなかった場合はどうなる?
罰則は現時点でありません。
ただし、提出しないと以下の3つのデメリットが生じます。
- 青色申告(最大65万円控除)が使えない
- 屋号付きの銀行口座が開設しにくくなる
- 小規模企業共済に加入できない
電気工事士として独立するなら、提出は事実上マストです。
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提出先・提出期限・提出方法|3つを確認する
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提出先
自分の住所を管轄する税務署の窓口です。
国税庁の「税務署を調べる」ページでお近くの税務署を確認できます。
提出方法は3種類
- 税務署の窓口に持参
- 税務署宛に郵送
- e-Tax(マイナンバーカードまたはID・パスワード方式)
提出期限
事業を開始した日から1ヶ月以内です。
例えば2026年4月1日に初受注・初工事をした場合、期限は4月30日となります。
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開業届の書き方|電気工事士の記載例
📖 参考書・テキスト
用紙はA4サイズ1枚です。
国税庁のホームページからダウンロードできます(様式=開業届出書)。
以下に各項目の記載例を示します。
①提出先税務署の名称
住所を管轄する税務署名を記入します。
例:「〇〇税務署長 殿」
②納税地・住所・氏名・生年月日
「納税地」は原則として住所地を記入します。
事務所や作業場が別にある場合は「住所地以外の場所」欄を使います。
記載例
| 納税地 | 〒123-4567 東京都〇〇区〇〇1-2-3 |
| 氏名 | 田中 一郎(個人名を記入) |
| 生年月日 | 昭和62年5月10日 |
③屋号
屋号は必須ではありません。
ただし、ブランディングや請求書発行を考えると記入したほうが便利です。
例:「田中電気工事店」「TS電設」など
後から変更も可能なので、決まっていれば記入しましょう。
④職業欄
ここが最も迷うポイントです。
電気工事士の場合は以下のいずれかを記入します。
推奨される記載例
- 電気工事業(最もシンプルで汎用的)
- 電気設備工事業
- 電気工事士(資格名をそのまま記入しても可)
※一般的には「電気工事業」が最も広く使われます。
⑤事業の概要欄
職業欄より詳しく事業内容を記入します。
記載例
「一般住宅・店舗・オフィスを対象とした電気設備工事(内線工事・分電盤工事・照明設備工事等)の請負・施工」
自分が実際に行う工事の種類を30〜60字程度で具体的に書きます。
⑥開業日
初めて仕事を受注した日、または最初の工事施工日を記入します。
まだ工事をしていない場合は、独立を決めた日や道具・車両を購入した日でも問題ありません。
⑦所得の種類
「事業所得」にチェックを入れます。
給与所得との混在がある場合でも、独立開業の電気工事士は「事業所得」が基本です。
⑧従業員の有無
一人親方でスタートする場合は「0人」と記入します。
家族が手伝う場合は「専従者」として別途手続きが必要です。
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開業届と同時に提出すべき書類|3種類を解説
①青色申告承認申請書(最重要)
開業届と同時に提出することを強く推奨します。
これを提出することで、確定申告時に最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。
提出期限に注意
- 開業日から2ヶ月以内に提出
- その年の3月15日までに提出(1月・2月開業の場合)
開業届と同時に出せば期限を気にする必要がありません。
②青色事業専従者給与に関する届出書
配偶者や親族に給与を支払う予定がある場合に提出します。
一人親方でスタートする場合は不要です。
③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員を雇う予定がある場合に提出します。
毎月の源泉所得税の納付を年2回にまとめられる特例です。
開業当初は一人親方が多いため、不要なケースがほとんどです。
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電気工事士が開業届と並行して行う手続き一覧
開業届の提出だけでは事業はスタートできません。
電気工事士として独立するには、以下の手続きも必要です。
| 手続き | 提出先・申請先 | 必要性 |
|---|---|---|
| 開業届 | 税務署 | 事実上必須 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 強く推奨 |
| 電気工事業の登録 | 都道府県知事または経済産業大臣 | 必須(法定) |
| 国民健康保険の加入 | 市区町村役所 | 必須 |
| 国民年金への切替 | 市区町村役所・年金事務所 | 必須 |
| 小規模企業共済の加入 | 中小機構(代理店経由) | 強く推奨 |
電気工事業の登録は法律上の義務
電気工事業を営む場合、電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)に基づく登録・届出が必要です。
登録しないで営業すると、3万円以下の罰金が科される可能性があります。
登録の種類(2026年版)
- 登録電気工事業者:一般用電気工作物の工事を行う場合
- 通知電気工事業者:自家用電気工作物のみの工事を行う場合
一般住宅や店舗の内線工事を行う場合は「登録電気工事業者」として都道府県知事への登録が必要です。
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よくある質問|開業届の疑問をまとめて解決
Q. 開業届を出すと国民健康保険料は上がる?
開業届の提出自体は保険料に影響しません。
国民健康保険料は前年の所得をもとに算定されます。
Q. 副業で電気工事をする場合も開業届は必要?
年間の事業所得が20万円を超える場合は、開業届の提出が実質的に必要となります。
青色申告を利用したい場合も必須です。
Q. 開業届を出した後に屋号を変更できる?
変更できます。
「個人事業の開業・廃業等届出書」を再提出し、変更後の屋号を記入するだけです。
Q. マイナンバーは記入が必要?
必要です。
開業届にはマイナンバー(個人番号)の記入欄があります。
窓口提出の場合は身分証明書の提示も求められます。
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まとめ|電気工事士の開業届は1日で準備できる
開業届の作成は、慣れれば30分もかかりません。
重要なポイントを最後に整理します。
- 提出先:住所地を管轄する税務署
- 提出期限:開業日から1ヶ月以内
- 職業欄:「電気工事業」と記入するのが一般的
- 青色申告承認申請書は開業届と同時提出を推奨
- 電気工事業の登録(都道府県知事)は法律上の義務
書類を1枚1枚確実に揃えることが、独立開業の第一歩です。
税務署の窓口に直接持参すれば、その場で疑問点も確認できます。
不安な方は最寄りの商工会議所や税理士に相談することも選択肢の一つです。
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